復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月7日「自衛隊、年内に約3千人配備」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月7日の琉球新報1面トップは、「来月15日から1週間/通貨交換期日を発表/日銀総裁/円貨は20日ごろ輸送」との見出しで、復帰に伴うドルから円への通貨切り替えが復帰の日の5月15日から始まることになったとの記事を掲載している。復帰前の通貨交換が不可能になったことを伝えるものだ。沖縄での流通ドルが約1億ドルで、調達する円は300-500億円の札や硬貨となる。

 隣には横見だしの大きな記事として「自衛隊、年内に約3千人配備/来年半ばにホーク群/あす国防会議で決定」と、自衛隊の沖縄配備計画について紹介している。3月に航空自衛隊が配備計画決定前に資材を「抜き打ち搬入」したこともあり、ただでさえ日本軍への反感が強い沖縄でさらに反自衛隊感情も激化したことを受けて、配備規模の縮小や時期の後ろずれを余儀なくされた。

 復帰に伴う基地従業員の米軍から日本政府による間接雇用への移行などを巡って従業員でつくる全軍労が一カ月を超えてストを続けていることを受けて、防衛施設庁の島田長官が収拾案を携えて来県するとの記事を掲載している。

 沖縄返還密約を記した外務省機密文書が国会で暴露され、新聞記者らが逮捕された件の続報として「政府、さらに窮地へ/送検で院外行動も高まり」との見出しで、国会での議論が活発化している様子を伝えている。その中で佐藤栄作首相は「新聞倫理綱領は守られていない」と述べた様子も紹介している。院外では総評、新聞労連、マスコミ共闘、日本ジャーナリスト会議などの団体が抗議行動を展開している。

 ベトナム戦争に関連して「大規模北爆始める/米軍、共産側攻勢への報復」との見出しで、北爆が激化している様子を伝えている。

 また琉球新報社が「県民のいろんな会合で、いつまでも歌われ、沖縄の方言を知らない本土の人にも親しまれる『沖縄音頭』を作りたい」として、「新沖縄音頭」の歌詞を募集する社告を掲載している。

 

 ◇  ◇  ◇

 

 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。