復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月8日「自衛隊配備計画縮小を/首相が指示」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月8日の琉球新報1面トップは、「11日にストを解く/全軍労中執委が方針/要求の一部前進認め」との見出しで、1カ月以上続く全軍労のストが収拾する道が見えてきたことを伝えている。全軍労は復帰に伴う大量解雇の撤回と、日本政府による間接雇用への移行に関する要求を掲げてストを継続している。記事ではスト収拾の理由として「①組合員の生活が困窮している②退職手当の本土並み支給、三六〇円の賃金読み替え、特別給付金の支給などに前進があった」と判断したという。一方で「下部組合員のなかには『スト収拾の条件はない』として不満の声もある」とも紹介している。

 2番手の左肩には「自衛隊配備計画縮小を/首相、防衛庁に指示/米と再調整も/国防会議も延期」との見出しで、佐藤栄作首相が地元の「反自衛隊感情」を重視して計画縮小を指示したとの記事を掲載している。これに対して江崎真澄防衛庁長官は米側との合意に基づいていると見直しに難色を示しており「取り決めの再調整という事態に発展することも予想される」と観測を示している。

 沖縄返還密約を巡る外務省の機密文書が国会で暴露され、新聞記者と外務省の事務官が国家公務員法違反容疑で逮捕された件に関する続報も多くの紙面を割いている。大きく囲んで「報道の自由確立に努力」との見出しで新聞協会が発表した見解を掲載している。見解は「取材活動の自由が言論の

 さらには佐藤首相が「毎日新聞が権力の挑戦というなら受けて立つ」と述べた様子を紹介し「基本的に高姿勢はくずしていない」と伝えている。また、文化人や学者、ジャーナリストが国会に集まり「国民の知る権利を守る会」を結成、「国民の知る権利を奪う暴挙」だと逮捕に抗議する集会が開かれたことを紹介。約300人が集まったと記している。社会党は政府を糾弾する方針を決め「外交機密度、最小限に」との見出しで政府を徹底追及する姿勢を紹介している。野党も「報道の自由」に関する「連合審査会」を開くことも記事で報じている。

 

 

 

 

 

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。