沖縄本島、コロナ病床の使用率78%に 一般・救急医療に影響の恐れ


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 新型コロナウイルスの新規感染者が連日千人超となり、医療提供体制も逼迫(ひっぱく)度を増している。県対策本部の医療コーディネーターの佐々木秀章医師によると、本島内では実質的に確保できるコロナ専用病床は7日午後4時時点で266床だが、すでに208床埋まっており、使用率は78.2%となるという。佐々木医師は「今週末にも一般病床や救急でも必要な医療が提供できない事態になるかもしれない」と、危機感を強めている。

 病床使用率については、宮古や八重山の病床使用率は3割以下と低く抑え込まれているものの、本島圏域は県がまん延防止等重点措置の指標とする病床使用率60%を上回っている状態だ。

 入院患者は増加を続けており、7日は237人。県が流行第7波の突入を明言した会見の場で、県政策参与の高山義浩医師は「病床使用率が従来より高い状態で流行がスタートする。感染を抑えるために県民が力を合わせる必要がある」と強調した。

 県の呼び掛けの背景について、佐々木医師は「すでに入院調整が難しい状態が来ている」と漏らす。感染や濃厚接触などによる21重点医療機関に勤務する医療従事者の欠勤は増加し、7日は289人で、病床はあっても人繰りが難しくなっている状態だという。

 新規感染者は年代別で10歳未満から40代までが200人超だが、入院患者のほとんどが基礎疾患のある高齢者で在宅や施設から運び込まれて来るという。60歳以下が入院する割合は低いものの、佐々木医師は「交通事故や働き盛りの心筋梗塞などの救急部門や、周産期の対応が難しくなる時期が迫っている。医療提供体制の問題は高齢者だけではない。一般医療を守るため、県民全体で感染を抑えてほしい」と訴えた。

 米軍基地関係の感染は107人だった。
 (嘉陽拓也)