復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月9日「5・15は『決意の日』」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月9日の琉球新報1面トップは、「全軍労、中闘開けず/〝スト収拾許さない〟/下部組合員が突き上げ/きょう再び協議/混乱、延々7時間も」との見出しで、復帰に伴う大量解雇などに反対して1カ月以上ストを続けている全軍労の執行部が「11日に解除」との方針を固めたが、組合員がその方針に反対して中央闘争委員会が開催できない事態になっていることを伝えている。

 隣接したハラ位置には「5・15は『決意の日』/復帰協が方針/県民総決起大会で抗議/4・28には網の目行進」との見出しで、「五月十五日の行動ではこれまで4・28を『屈辱の日』として位置づけてきたが、5・15を『決意の日』として設定、返還協定を告発するとともに反戦平和の戦いを強化する〝戦いの転換〟を図る」と方針を説明している。

 連日報道が続いている沖縄返還密約をめぐり記者らが逮捕された件の続報として「秘密保護法制定も/首相が示唆/報道の自由、知る権利危機」との見出しで、佐藤栄作首相が国会で「秘密保護方は必要である」と答弁したことを報じている。

 少女が拉致され、殺された事件について大きく報じている。

 

 

 

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。