沖縄本島や周辺離島の海岸や港湾施設に大量の軽石が漂流・漂着してから半年が経過した。県や県漁業協同組合連合会(県漁連)の調べで、5日時点で、全体の92%に当たる38カ所の港湾に軽石が漂着していることが分かった。
県内漂着から半年
現時点でも「大量に漂着し、漁業、離島航路に支障がある」と回答したのは名護市と今帰仁村にまたがる運天港と、国頭村の奥港の2カ所。支障はないが、少量の漂着があると答えたのは36カ所だった。
国頭村の辺土名漁港では9日、軽石の漂着は見られなかった。漁業関係者によると、最近も月の半分は軽石の漂着で出漁できない状況だという。
出漁の準備をしていた国頭漁業協同組合の苅田剛和さん(52)は「港の入り口に軽石侵入防止の汚濁防止膜を張っているが完全には防げない。エンジンに軽石を吸い上げないよう対策して操業している。コロナ禍の観光客減で魚も売れないダブルパンチだ。早く改善してほしい」と願った。
県内36漁業協同組合を対象に聞き取りした漁船の出漁状況については、3月31日時点で全登録隻数3022隻のうち0・7%に当たる20隻が今も出漁を自粛している。これまでにエンジントラブルが発生した漁船数は、航行不能に陥った45隻を含め合計205隻となった。
県漁連の担当者は「これから本格的なシーズンを迎えるモズク漁への被害は現時点で届いていない。予断を許さないが、今後も状況を注視していく」と述べた。
(当銘千絵、岩切美穂)