ウチナーグチ学んで継承 高嶺県立芸大元教授がテキスト出版


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「沖縄語ウチナーグチ練習テキスト」を発刊した県立芸大元教授で琉球舞踊家の高嶺久枝さん=3月30日、琉球新報社

 琉球舞踊家で県立芸大元教授の高嶺久枝さんが沖縄語「ウチナーグチ練習テキスト」をこのほど自費出版した。消滅の危機にひんする「しまくとぅば(琉球諸語)」を普及させたいと、県立芸大での授業を基にまとめた。あいさつの表現「ハイサイ/ハイタイ(やあ)」をはじめ、日常生活で使われる単語30項目を基礎から学べる内容。「日常的に使う機会が増えたら、継承につながる。学校教育の場で活用してほしい」と呼び掛けている。

 高嶺さんは、2015年4月から今年3月末まで、県立芸大音楽学部琉球舞踊組踊コースの教授を務めた。琉球芸能を学ぶ人にとってウチナーグチの理解は必須だ。しかし、琉球芸能専攻の学生でもウチナーグチを使う人が周囲にいないため話せない人が多数という。

 高嶺さんは危機感を抱き「ウチナーグチ(沖縄語)練習帖」(高良勉著)、「黄金言葉(くがにくとぅば)」(仲村優子編著)など既存本を参考にテキストを作成し、授業前の10~15分間を活用して講義した。
 
 「しまくとぅば(琉球諸語)」は琉球列島の方言の総称と言われる。高嶺さんは組踊や沖縄芝居で用いられ、首里・那覇で使われたウチナーグチに焦点を当てた。

 今回発刊した「ウチナーグチ練習テキスト」は「ハジメティヤーサイ(はじめまして)。ナマカラー ドゥシ ナイビラヤー(今からは友人になりましょうね)」など日常会話の基本表現を盛り込み、応用の例文や琉歌や民謡などの解説も加えた。

 今後、学校や教育委員会を訪ね、活用を呼び掛ける。高嶺さんは「言葉は沖縄の文化の基層をなすもの。復帰50年の節目にしまくとぅばの継承に力を入れたい」と意欲を示している。「練習テキスト」に関する問い合わせは高嶺さん(電話)090(1943)6274。 (高江洲洋子)