応援職員派遣の切迫恐れも 第7波に高齢者施設の感染増懸念


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 新型コロナウイルスの流行は第7波に入り、県内の高齢者施設における感染が増加する懸念が強まっている。県内では、高齢者施設でクラスター(感染者集団)が起きた際、県対策本部の医師とは別に、介護職員を派遣する県のコーディネート事業が続けられてきたが、感染者が増え続けた場合、派遣も追いつかない恐れも出始めている。

 同事業は、訪問看護事業などを手がけるソーシャルアクション(浦添市)が事務局となっている。介護施設間で人材派遣するシステムで、昨年6月から始まった。代表社員の崎濱隼次氏によると、互助の輪が広がり、これまで30法人が派遣元として登録し、派遣前の研修を受けた介護士や看護師は300人以上になる。ただ、常にマンパワー不足でもある。

 今年1~3月の流行第6波では応援要請120人に対し、看護師や介護士を派遣できたのは49人と約4割にとどまる。基礎疾患のある高齢者が施設内療養で回復すれば、県全体の医療提供体制の負荷を抑えられるが、崎濱氏は「感染者が過去最多を更新すれば、派遣できる施設もさらに限られてしまう」と危惧する。

 3月下旬以降は、医療支援を求める施設から看護師の派遣要請が増えているが、ワクチン接種業務に携わる看護師が増えたため、県とともに人材確保を急いでいるという。さらに、これまでは新規感染者の急増から約2週間後に応援要請も増えたが、3月下旬からは感染者の増加と連動して派遣要請が増えつつある。

 感染状況に即応した支援を実施するため、崎濱氏は「ともに流行を乗り切るため、ぜひ事業に参加してほしい」と呼び掛けた。問い合わせはソーシャルアクション(電話)098(914)1068 (嘉陽拓也)