土壌からラム酒づくり キビ初収穫、特性の研究も ONERUMプロジェクト


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アグリコールラム造りに挑戦するONE RUMプロジェクトのメンバーら=3月26日、糸満市豊原

 「土壌からのラムづくり」をテーマに、サトウキビ栽培からラム酒造りまでを行う「ONE RUMプロジェクト」に取り組む瑞穂酒造(那覇市)はこのほど、関係者と共に糸満市の自社農園で初の収穫作業を行った。プロジェクトでは、サトウキビの搾り汁を100%使用する「アグリコールラム」の製造に挑戦しており、糸満市内で最も普及している農林27号を刈り取り、搾り汁の発酵作業までを行った。

 サトウキビは収穫後の品質劣化が早く貯蔵もできないことから、アグリコールラムはサトウキビの生産地でしか造れず希少性が高い。廃糖蜜で造られる一般的なインダストリアルラムに比べて高値で取引されている。

 県の基幹作物であるサトウキビの可能性を広げる同プロジェクトも、その希少性と高い付加価値性に着眼した。2021年~22年は試験的にサトウキビ約4トンを収穫し、昨年2月に植え付けした3品種それぞれの特性を研究する。ラム酒の販売時期は原酒の熟成具合を見ながら検討する。

 瑞穂酒造商品開発室の仲里彬室長は「アグリコールラムは搾り汁の風味がダイレクトに反映されるのが魅力。どの品種が最適か試行錯誤しながら最高のラム酒を作り上げたい」と意気込んだ。

 プロジェクトメンバーでチョコレート専門店タイムレス(北谷町)の宮崎雄志取締役は、沖縄でしか造れないラム酒が完成すれば商品価値が高まり、カクテルやスイーツなど活用の幅も広がると断言する。その上で「サトウキビの新たな価値と、それに付随した利益を生み出すことが最終目標」だと述べた。

 20年11月に結成された同プロジェクトには、JAおきなわなや県黒砂糖協同組合、琉球大学などの団体や個人が参加している。(当銘千絵)