復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月14日「久米島虐殺事件、国会も本格調査へ」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月14日の琉球新報1面トップは、「〝佐藤首相退陣〟へ追撃/野党三党首会談で対処/極秘文書で九人処分」との見出しで、沖縄返還密約の外務省機密電報が国会で暴露され、新聞記者が逮捕された件で、国会論戦の様子を紹介している。記事では「佐藤首相は①報道にたずさわるものは倫理綱領を守るべきだ。正しい形でマスコミが運営されれば民主主義の基底は強固になる②政府と新聞の目的は、高い次元では一致しており、併存できる③機密保護法制定の意思なしとはっきり申し上げる―などの見解を明らかにした」と記している。

 隣接する記事で「核秘密電報は偽造/米大使館が声明」として、国会で取り上げられた「日米核協力に関する米海軍の秘密電文」について米大使館が「偽造」だと反論した内容を報じている。外務省が国会で否定した記事「真っ向から否定/日米の核戦略構想問題/外務省」も掲載している。文書を取り上げた楢崎弥之助衆院議員(社会党)の反論記事も載せており、「このようなことをうやむやにしておくと、沖縄の核抜きなど全く有名無実になる」と語ったことも伝えている。

 沖縄戦中の久米島での日本軍による住民虐殺事件が国会でも取り上げられたことに関連して「国会も本格調査へ/一両日中に取り扱い協議」との見出しで、国会での扱いについて報じている。衆院内閣委員会の理事会で、与野党の各理事の間で「復帰を目前に控えた沖縄の県民感情や自衛隊拒否問題とも密接にからむ重大な問題であるので、どの委員会で扱うかは今後協議するにしても、とにかく国会として事実関係を明らかにしなければならない」と一致点を見たことを伝えている。

 

 

 

 

 

 

 ◇  ◇  ◇

 

 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。