子育て世代が流出、インフラ維持の財政重く…旧コザの空洞化どう対応?<争点・沖縄市長選4・24>上


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中央パークアベニュー=2021年8月、沖縄市

 17日告示、24日投開票の沖縄市長選の告示まで、あと3日と迫った。現職の桑江朝千夫氏(66)=自民、公明推薦=と新人で前市議の森山政和氏(73)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし推薦=が立候補を表明している。経済振興、福祉政策、基地問題など選挙戦の争点を洗う。

 1974年に旧コザ市と旧美里村が合併して誕生した沖縄市。長期的に人口は増えているが、内訳を見ると旧コザは人口減少が進む。旧コザ市の人口は74年に6万7717人で旧美里村(2万7977人)の2倍以上いた。だが2020年には5万1047人に減少。一方で旧美里は旧コザの2倍近い9万1926人まで増え、逆転現象が起きている。

 市は旧コザを中心市街地と位置付け、学校や道路、上下水道などのインフラも重点整備した。だが中心市街地の「空洞化」により、1人当たりのインフラ維持費や老朽化に伴う更新費用が財政の重しとなってくる。

 旧コザは特に子育て世代が流出し、高齢化が進む。独居高齢者の増加による将来的な空き家増加の深刻化も指摘される。旧コザの22年3月時点の65歳以上人口の割合は26.8%。これは旧美里村の18.1%を大きく上回る。特に旧コザのセンター地区や胡屋地区で29.2%と高く、対照的に旧美里の美里地区は15.2%と低い。

 中心市街地では活性化につなげようと過去にコザ・ミュージックタウンやコリンザなどの目玉施設も整備されたが、「空洞化問題」の改善には至っていない。また市行政はIT関係の創業支援や店舗改修支援などを講じてきた。こうした取り組みで商店街の空き店舗率は改善し、かつてよりも「にぎわい」を取り戻しつつある。

 ただ定住人口は目に見えて増えてはおらず「にぎやかで、住みやすい街」は道半ばだ。

 再選を目指す桑江朝千夫氏は、昨年完成した市の施設「沖縄アリーナ」の誘客効果を強調。商店街と連携して活性化を図り、市胡屋北交差点へのターミナル整備で循環バスによる中心市街地の利便性向上も図るとする。また安慶田地区や中の町地区の区画整理を通して都市機能を向上させ、老朽化した住宅の建て替えを促進すると対応を説明する。

 新人の森山政和氏はコザ十字路へのターミナル整備や音楽、文化、国際色を生かしたまちづくり、スポーツコンベンションの推進を活性化策に挙げる。大型開発よりも「小さな再開発」を進めて中小零細企業を優先して仕事を回すことで人が集まり、地域が潤うとする。中心市街地で問題化する空き家のオフィス活用なども図るとしている。
 (’22沖縄市長選取材班)