外来トカゲが沖縄本島で拡大中、やんばるの希少種脅かす 2カ月で99匹捕獲、ピンクの喉が特徴「グリーンアノール」


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最大の特徴であるピンクののど袋を膨らませた外来トカゲ「グリーンアノール」(沖縄県環境部自然保護課提供)

 米国南東部原産の外来トカゲ「グリーンアノール」。在来トカゲの生息域を奪い、大型昆虫も補食するため、希少種が生息する沖縄島北部やんばるへの侵入が危惧されている。沖縄県環境部は拡散防止に努めているが、那覇、豊見城での定着は確実とされ、うるまでは捕獲、名護の西海岸では目撃情報が上がっている。拡散防止の鍵は住宅地での繁殖阻止だが、グリーンアノール自体が住民に広く知られていない状況だ。より効果的な防除のために、環境団体は住民への周知に併せて目撃情報の収集を訴える。

 現在、グリーンアノールの防除は粘着トラップ(わな)の設置が唯一の手段。県環境部が業者に委託して防除している。

 環境団体「沖縄自然環境ファンクラブ」(藤井晴彦代表)は9日、ボランティアを募り那覇市首里の末吉公園と住宅地が接する一帯で草刈り作業を行った。住宅地で繁殖したグリーンアノールが公園に侵入しにくい環境をつくるためだ。

 グリーンアノールは2015年、末吉公園でも初めて確認された。公園内で県が防除に取り組み、見られなくなった。しかし、20年から再び目撃されるようになり、22年2~4月の間に64カ所で99匹が捕獲された(クラブまとめ)。公園外縁部での捕獲が目立ち、住宅地から侵入しつつある状況がうかがえる。

 藤井代表はトラップ防除の効果を実感しているが、数に限りがあるため「より効果を高めるには、目撃情報が多い区域に集中して仕掛けていくことだ」とする。だが、グリーンアノール自体が広く知られていないとして「まずは周知。住民と協働して『侵入させても定着させない』実績を積み上げていけば、他の地域にも手法を広げていけるのではないか」と話した。

 クラブは16日も午後1時30分から草刈り作業を行う予定で、ボランティアを募集している。申し込みは那覇市立森の家みんみん(電話)098(882)3195(午前9時~午後6時、火曜日定休)。グリーンアノールの目撃情報は県自然保護課(電話)098(866)2243か島嶼(とうしょ)生物研究所(電話)098(914)4778。 (安里周悟)
 
 ■グリーンアノール 米国南東部原産で、体長は尾を含め12~20センチ。最大の特徴はのどにあるピンクの袋(雄)で、目の周りが青く、体色は緑色だが茶褐色にも変わる。緑が少ない都市部でも生息でき、年に卵を20個程度産むほど繁殖力が強い。県内では1989年に東風平町(現八重瀬町)で初確認。ペットとして飼われていたものが逃げたか捨てられたか、米軍を含む県外から輸送された物資に紛れていた可能性もある。車に付いて生息域を拡大させたとみられる。