沖縄の企業69.3%が仕入れ値上昇 そのうち63.8%は価格に転嫁 海邦総研調べ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 海邦総研(新崎勝彦社長)は14日、県内企業の仕入れ値上昇と価格転嫁動向に関する調査結果を発表した。回答した385社のうち、原材料費などの高騰で1年前と比較して仕入れ値が上昇している企業は267社(69.3%)に上った。うち、商品やサービスの価格に「転嫁している」「今後転嫁する」と回答した企業は62.8%だった。

 世界的な資源、原材料の価格上昇や円安で県内企業の仕入れ値も上昇し、価格転嫁が進んでいる。海邦総研は「今後さらに値上げが進むと予想される。県民の家計を直撃し、消費生活は厳しさが増すと懸念される」としている。

 仕入れ値が上昇したと回答した割合は、飲食サービス業(92.8%)、製造業(90.3%)、建設業(85.2%)の順に多くなっている。飲食サービス業では主に小麦や食肉、油などが値上がりしている。

 価格転嫁の状況を業種別に見ると「転嫁している」が多いのは卸売.小売業(61.1%)、建設業(50.1%)となった。卸売.小売業は業界全体で取引価格の値上げ交渉が大幅に増えている。仕入れ値が上昇すれば販売価格も上昇すると考えられ、さまざまな商品で値上げが進むことが予想される。

 「転嫁していない」は29.2%で、理由は「他社との価格競争が厳しいため」が最も多く、「取引先との関係を維持するため」が続いた。

 飲食サービス業は仕入れ値上昇が顕著だったが、価格に転嫁しているのは15.4%にとどまった。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で需要低減が続く中で、価格転嫁できる企業が少ないとみられる。今後、需要が回復していく中で転嫁が進むと推察される。

 仕入れ値が上昇した企業のうち、83.5%が経営に影響があると回答している。海邦総研は「コスト増加分はしっかり価格に転嫁し、利益を確保した上で、賃金などに還元していくサイクルを確立するスタンスが求められる」とした。

 調査は県内に本社がある1975社を対象に3月1日から24日に実施した。
 (玉城江梨子)