失業率改善も依然厳しい状況 困窮世帯問題どう対応?<争点・沖縄市長選4・24>中


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 24日投開票の沖縄市長選挙では、再選を目指す現職の桑江朝千夫氏(66)=自民、公明推薦=と新人で前市議の森山政和氏(73)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし推薦=の両氏ともに、市の貧困問題への対応を重視しており、独自政策を掲げている。市では困窮世帯の問題や広がる経済格差など、長年抱えてきた課題が今も山積しており、対応が迫られている。

 2015年国勢調査によると、沖縄市の完全失業率は7.2%だった。00年から10%を超え、10年には14.5%に上った市の失業率は、改善傾向にある一方で、県内11市の中で失業率はうるま市に次いで2番目に高く、依然として厳しい状況が続く。

 市によると、20年度の非課税世帯の対象者は4万2423人に上り、市内の人口の約3割を占める。生活困窮世帯への行政支援の必要性が強調されてきたが、同時に市財政への圧迫も避けられない。貧困問題の解決には、本質的な市民生活の底上げが不可避となっている。

 県の18年度の統計によると、市の一人当たりの市民所得は200万3千円で、県内41市町村中39位と、下から3番目だ。桑江氏が市長に就任する前年の13年度は183万8千円で、就任から5年間で所得は9%上昇した。一方で、沖縄県の平均は同期間で16.4%上昇した。沖縄市と県平均の差は広がっている。

 桑江氏は若年妊産婦の居場所づくりや給付型奨学金の創設など、自身が推進した施策を拡充して前面に打ち出す。特に若年層の資格取得やひとり親家庭の就労支援を「貧困の連鎖を断ち切るために最も重要」と位置付け、キャリア支援を通して市民自らが所得を向上できる仕組みをつくる考えだ。子ども食堂の充実強化や18歳までの医療費無料化も掲げる。

 森山氏は貧困問題の解決に向け、「人への投資」を前面に打ち出す。喫緊の対策として、学校給食や18歳未満の医療費の無償化を掲げるほか、中長期的な解決策として教育格差の是正を掲げる。少人数学級の推進や学習支援員の増員に取り組む考えだ。市内の産業構造の偏りにも原因があるとし、割合が小さい農林水産業への就業支援も掲げている。
 (’22沖縄市長選取材班)