復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月16日「CF130二機が飛来/ベトナムへ爆弾輸送?」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月16日の琉球新報1面トップは、「連休後に多数派工作公然化/三木訪中、大平政策発表で/自民党内、佐藤以後の動き」との見出しで、国会終了を見越してポスト佐藤栄作首相の地位を巡り自民党内での駆け引きが激化するとの見通しを伝えている。記事では「これまでは〝クラウン・プリンス〟として福田外相が佐藤首相の後継者とみられていた。しかし最近では田中通産相の激しい攻勢が功を奏し、角福が一線に並んだとの見方から、逆に田中氏が一歩リードしているとみる向きもある」と記している。

 嘉手納クレジットの記事は「CF130二機が飛来/ベトナムへ爆弾輸送?/嘉手納基地」との見出しで、那覇基地にあって姿が見えなくなっていた輸送機C130の改良型のCF130が嘉手納基地に現れたことに関連して、米軍の動向についての観測記事を掲載している。C130とCF130の違いを比較しつつ「特に核、特殊兵器など高性能爆弾の輸送が主要任務だといわれ、サイゴンに司令部を置く米第七空軍と連携を取りつつ、インドシナ戦に使用する高性能爆弾を沖縄基地からベトナム向け輸送しているのではないかと見られる」と書いている。

 日米安保条約に関して日米で交わしている「事前協議制」を巡り、ベトナム戦の情勢を受けて米軍岩国基地からの米軍移動について「事前協議の対象再検討/外相、参院予算委で答弁」と与党の国会答弁を紹介している。記事では「従来の政府見解では特に問題の多い直接戦闘行動について『米軍がいったん日本国外に出たあとで戦闘行動を命じられた場合は事前協議の対象とならない』としているが、今回の岩国基地かrなお発信のような場合、どの時点で戦闘命令を受けたのか必ずしも明らかでなく、野党側は『事前協議制度の空洞化』であると強く非難している」と指摘している。

 沖縄金融公庫法案の衆院通過を受けて「那覇など5カ所に支店/沖縄金融公庫法案、衆院通過/対策庁、特別融資で検討へ」との見出しで、月末にも参院で可決される見通しを伝えている。

 激化するベトナム戦情勢では「アンロク陥落/南ベトナム解放放送発表」との見出しで、南ベトナム民族解放戦線がサイゴン政府軍を完全撤退させたとする開放放送の発表内容を紹介している。その関連で、逆に「政府軍筋は陥落を否定/劣勢を示唆」と政府軍側の情報も併記している。

 

 

 

 

 

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。