沖縄でモータースポーツ普及へ アマチュアレーシングドライバー上原政人の挑戦


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 沖縄県内でモータースポーツの裾野を広げようと、アマチュアのレーシングドライバーの上原政人(38)が奮闘している。昨年6月にクラブ「ハウスカレーシング」を設立し、自ら県外や国外のレースに挑戦する。多くの人に競技を楽しんでもらうことを目指し「日常と(競技の)非日常をつなぐ」と意気込んでいる。(金良孝矢)

県外や海外でのモータースポーツレースに挑戦する上原政人=2015年、カナダ(上原提供)

 普段は沖縄市のモータースポーツマルチフィールド沖縄でスタッフとして働く。週末に体験走行会を開いたり、自身の経験を基に国内外のレース参加を支援したりしている。モータースポーツはアマチュアでも活躍できるチャンスがあり、大人から競技を始める人も多いとされる。

 チーム名は競技が盛んなフィンランドの言葉で「楽しい」を意味し「気軽に楽しく」をモットーとする。沖縄は本格的なサーキット場がなく「始め方が分からない」「一度でいいからレースに出てみたい」などの相談があるという。上原は「始めることが難しく、その手助けをしたい」と語る。体験走行会の参加者が県外のレースに挑戦した事例も出てきた。

県外や海外でのモータースポーツレースに挑戦する上原政人=2015年、カナダ(上原提供)

 那覇市出身で中学生の時、海外のF1レースをテレビで見て夢中になった。車を運転するようになると「どうやったら(F1のように)運転できるんだろう」と挑戦したい気持ちが芽生えた。2005年、三重県の鈴鹿サーキットのレース選考会に参加した。マシン走行は初めてで「あまりの遅さに心配された」が、情熱は高まった。帰沖後はレーシングカートで腕を磨き、県外やタイでレーシング教室を受講して学びを深めた。

 県外のチームに打診して、12年に耐久レース初出場を果たした。苦手だった英語の勉強を続け、13年にフィリピンのスプリントレースに参加したり、15年にカナダでマシンのメカニックコースを7カ月受講したりした。憧れの欧州のレースで、地元チームに掛け合って車両を借りて参戦した。「工夫すれば世界でレースができる」と実感する。クラブは秋ごろ、欧米でのレース参加も目指すという。

県内での競技普及の支援に取り組む上原政人=3月31日、沖縄市のモータースポーツマルチフィールド沖縄

 競技について「非日常を求め、自分で操作する気持ちよさや、世界各地での出会いが魅力」と語る。魅力をさらに多くの人に知ってもらうため、これからも走り続ける。