復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月17日「米、北爆を全面再開」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月17日の琉球新報1面トップは、「米、北爆を全面再開/ハノイ、ハイフォン爆撃/B52など百機を投じ/解放勢力も報復攻撃」との見出しで、ベトナム戦争での米軍による北爆が拡大している状況を伝えている。記事では「六八年十一月の『北爆停止』はご破算となった。(中略)北爆全面再開で、ベトナム戦争は六八年五月のパリ和平会談開始以前の全面対決の状態に逆戻りした形となった」と記している。

 米国のベトナム戦北爆再開の解説記事も掲載している。見出しは「苦境脱出の大勝負/ニクソンの危険なカケ」と掲げ、「ニクソン大統領にとって、戦争のベトナム化政策は今秋の大統領選挙という大目的からしても、スケジュールを狂わすことはできない。したがって北・解放戦線側の攻撃に対処する選択は、小幅な北爆か大幅な北爆か―いずれにせよ北爆しかなかった。(中略)しかし、ここで北ベトナムの心臓部にまで足を伸ばしたことは、米国が北・解放軍に対して本格的な軍事対応の姿勢を立て直したとみていい」と指摘。その上で「だがのこ再エスカレーションは当面、ベトナム化政策の手直し、米国内での反発への対応など政策転換を迫られよう。大統領選からの日程にしばられているニクソン大統領が苦境を脱するために打った大勝負が、パリ会談も含めてベトナム和平を遠のかせたことは確かだ」と締めくくっている。北京発の共同電では「訪中成果ご破産も/ハイフォン爆撃/北京の反発は必至」と中国側の強い反発を買うことになるとの見通しを伝えている。

 「きょうから連合審/立法院/最後の締めくくり/補正予算案を審議」と、立法院の各常任委員会の連合審査による補正予算審議が始まることを伝えている。関連して本土側との関わりについては「本土政府/財政特別法の早期立法を/〝赤字引き継ぎ〟困難に」との別記事も掲載している。

 トップに次いで大きな見出しで掲載しているのは「川端康成氏が自殺」の記事で、衝撃の大きさを伝えている。

  

 

 

 

 

 

 

 ◇  ◇  ◇

 

 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。