復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月18日「復帰後の軍用地契約/新規契約の性格」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月18日の琉球新報1面トップは、「復帰後の軍用地契約/新規契約の性格もつ/弁護士会が意見書/地主は〝自由な立場〟」との見出しで、復帰後の軍用地契約締結について、防衛施設庁が進めている公用地法は違憲の疑いがあるとの立場から問題点を指摘して意見書にまとめたとの記事を掲載している。記事では、弁護士会の新里一郎副会長が「本土政府の軍用地契約の説明の仕方は地主の権限擁護より土地の取得を優先させている。こうしたことは問題なので、地主にこれらの問題点を助言し、将来、悔いを残さないようにしていきたい」と述べたことを紹介している。

 自衛隊配備に関して「準備要員派遣決める/自衛隊舎、来月末にも着工」との見出しで、沖縄配備計画に基づいた作業が始まることを伝えている。

 1965年の宮古島の製糖工場合併を巡る「農民騒動事件」に対する判決公判があり「騒乱罪を適用、全被告有罪」との見出しで報じている。弁護側は「農民の大衆運動を抑圧するもの」として上告の方針を示している。

 立法院の各委員会による最後の連合審議が始まり「主席が総括説明/補正予算案」との見出しで、屋良朝苗主席の説明内容を紹介している。

 基地従業員の大量解雇反対などを掲げた無期限ストの収集方針をめぐる全軍労の混乱について「27日に臨時大会/執行部責任問題も議題に/全軍労」との見出しで、スト収拾後の事態について伝えている。

 ベトナムでの米軍による北爆が全面再開されたことを受け「北爆の即時停止を/人民党が抗議声明を発表」と沖縄内の動きも紹介している。

 尖閣諸島の帰属問題をめぐっては「尖閣は中国の領土/新左翼系学者文化人が声明」との見出しで、本土の学者、文化人グループが出した声明を紹介している。東大教養部共感や沖縄救護センター世話人、中国文学者らが呼び掛けて、95人の学者や文化人から賛同を得たという。呼び掛け人の沖縄救護センター世話人は「県益、国益の名の下に尖閣列島問題が自衛隊配備の口実にされる危険もある」と指摘している。

 

 

 

 

 

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。