prime

ホテル客室単価の推移 質の重視や富裕層向けで回復<けいざい風水>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄県のリーディング産業である観光業は、コロナ禍が長期化しており宿泊施設の客室稼働率が大きく低下しています。一方、弊社にて調査しているシティホテルとリゾートホテルの客室単価(平均値)は図のように推移しています。特徴としては、夏場の旅行シーズンに客室単価が上昇しています。2022年2月においては、オミクロン株の感染拡大とまん延防止等重点措置適用による需要減少で、客室単価も低下しています。

 全体としては、22年1月の客室単価が2年前(コロナ拡大前)を上回るなど、回復基調にあります。客室単価が回復基調にある要因として、2点考えられます。

 1点目は、「量から質への転換」です。客室の改装やサービス強化などにより付加価値を上げ、質を重視する動きが見られます。ホテル事業は固定費が大きく変動費が小さい特徴があり、値下げ効果が出やすい側面があります。これは、宿泊に特化するほど表れます。しかし価格競争は限界があり、質を重視する取り組みも必要です。

 2点目は、富裕層向けホテルの影響(相乗効果)です。客室単価が水準以上の県外・海外資本のホテルが進出しています。牽引(けんいん)されるように、質の向上と並行し適切な価格設定に取り組んでいるように見られます。

 コロナの影響が長期化していますが観光客はホテルや観光地だけの利用にとどまりません。交通機関を利用し、飲食し、県産品のお土産を購入するなど多くの産業に寄与するため一刻も早い観光産業の回復が望まれます。

(おきぎん経済研究所研究員 新垣富宏)