復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月19日「密約文書〝責任問題は処理〟」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月19日の琉球新報1面トップは、「使用期間の大半が5年/公用地法で政令まとまる/21日の閣議で決定/県民の反発は必至」との見出しで、前年の沖縄国会で成立した、沖縄での公用地の暫定使用に関する法律の政令の内容が固まったことを伝えている。その内容について「特に国会審議の最大の焦点となった使用期間については、工作物など一部を除いて大半の土地が『五年』と規定されており、今後現地沖縄では自衛隊配備とともに、軍用地強制使用への反発が一層強まるものとみられる」と記している。

 その軍用地契約に関連した記事として「作業急ピッチへ/防衛施設庁の説明/19市町村地主会が了解」との見出しで掲載している。

 一方自衛隊の沖縄配備に関しては、「さみだれ的に派遣/準備要員計画を変更」との見出しで、防衛庁が「県民感情をできるだけ刺激しないよう(中略)方針を変更したものとみられる」と指摘する記事も掲載している。

 沖縄返還密約の外務省極秘公電が国会で暴露され、記者が逮捕された件に関連して、外務省の責任を野党が追及したことに関する記事は「密約文書/〝責任問題は処理〟/外相答弁/横路、楢崎氏が追及」との見出しで国会審議の様子を伝えている。密約に関する外相の責任を問うた野党の質問に対し、福田赳夫外相が「密約文書時件の責任は総理大臣が私に注意したことで一応の処理は終わったと考えている」と述べたことを紹介している。

 

 

 

 

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。