米国内には「養育費履行強制制度」があり、今回は全米各州にある「養育費履行強制局」の下での養育費の回収システムを利用して成果を上げた。
邦人女性が、日本国内に居ながらにして米国内の制度を利用し、元夫の給与差し押さえによる執行を得たのは極めて異例だ。
外国判決の承認執行というと、思い出すのはキャサリン・ジェーン・フィッシャーさんの一件である。自身への暴行に端を発する米軍人への損害賠償判決(東京地裁)を執行するため単身米国に渡り、加害者の住所地管轄裁判所で2013年にようやく勝ち取った「1ドルの強制執行」だ。民事訴訟は個人の努力に待つほかないというのでは今回のような国際家事事件の将来的な展望は望むべくもない。
限られた分野ではあるが、このたび「養育費の回収」について、日本の行政を通さず直接外国の行政協力を得ながら邦人女性の救済につながった。今後の国際家事相談事業の発展に大きく寄与するものといえるのではないだろうか。
(国際私法)