経済振興、どう進める?アリーナ活用策に相違 <沖縄市長選・立候補者の政策比較>上


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 24日投開票の沖縄市長選には、無所属新人で前市議の森山政和氏(73)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし推薦=と、3期目を目指す無所属現職の桑江朝千夫氏(66)=自民、公明推薦=が立候補し、一騎打ちとなった。2氏の政策や主張を、琉球新報が実施したアンケートや取材を基に紹介する。本選挙では、両候補者とも交通ターミナル整備を公約に掲げる。一方で地域や内容は異なる。

 森山氏はコザ十字路へのターミナル整備を掲げる。国道329号と330号の結節点であることから「市街地活性化の起爆剤」と位置付ける。東部・北部地域へのアクセス向上を図るほか、次世代型路面電車LRTの導入に向けた調査も進める考え。整備に伴い、同十字路に市役所の一部機能を配置し、行政サービスの地域格差解消を図る。

 桑江氏は国直轄事業の国道330号の拡幅工事と連携して、胡屋地区で交通結節点の整備「バスタプロジェクト」を進める考えだ。交通要所となるバスターミナル機能の整備だけでなく、商店街の一部再開発も行い、商店街活性化につなげたい考え。商店街連合会と意見交換を重ねたとし、同プロジェクトの調査費は既に予算化済みだ。

 昨年3月に落成した沖縄アリーナについても、活用策に違いがみられる。市はFIBAバスケットボールW杯や大物アーティストのイベントで、中心市街地への誘客を期待する。一方で中心市街地まで1・6キロと距離があり、市経済界からは「市街地への誘客の機会を逃している」との声も上がる。

 森山氏は「アリーナ単独のビジネスモデルを模索すべき」とし、アリーナを生かした中心市街地の活性化よりも、商店街独自で取り組む魅力づくりを支援する考えだ。スポーツコンベンションの推進や音楽・文化などソフトコンテンツを生かして、中心市街地の活性化に取り組むとする。

 桑江氏は、自らが推進したアリーナを活用した経済振興を目玉に掲げる。周辺のホテル建設など「既に経済効果は出ている」と強調。観光を軸とした地域経済活性化に取り組む考えだ。課題と指摘される中心市街地への誘客は、商店街と連携したイベントやシャトルバス運行などを行う。

 それぞれ、独自の経済振興策も掲げる。森山氏は「観光収入を取り込む仕組みづくりが必要」とし、泡瀬漁港への「海の駅」整備やスポーツコンベンション推進を行う考え。空き家のオフィス活用も掲げる。桑江氏は「魅力を高めて投資したくなる環境づくりが重要」と強調。東部海浜開発事業の推進や安慶田・中の町地区の区画整理で都市機能向上を図る考えだ。
 (’22沖縄市長選取材班)