宮古島産の「ずみ!」なモズク 佐野真慈(宮古支局)


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written by 佐野真慈(宮古支局)

 皆さま、ミャークに来たれ。食べれ。今、宮古はモズクがアツい。市場を新品種が席巻しようと胎動している。乗り遅れてはならんど。

 県外出身の私にとって、モズクといえば髪の毛ほどの細い糸を酸っぱいタレと共にすするもの。食感はほぼなく、のどごしを楽しむオツな食べ物だった。

 大きな間違いだと沖縄で暮らして知った。生モズクはもちろん、天ぷらにスープ、炒め物まである。シャキっとヌルッとした食感にとりことなった。県外は「細」モズク。県内は「太」モズク。そもそも種が違うのだから当たり前で「無知は罪なり」とはこのことだ。

 新品種とはズバリ「来間株」だ。宮古では古くから来間島近海で採れていた太モズクで、従来に比べて小枝が少なく幹が太い。枝ぶりも良く収穫量は倍ほど違う。海中で波に揺れながら南国の太陽に照らされ黄金色に輝くさまはほれぼれする。歯切れよく味も最高とあって、宮古島漁協と市海業センターが共同でブランド化を目指しており、島内養殖漁師はほとんどが来間株に置き換えた。

 今年1月早朝、寒さに震えながら本格養殖開始初の収穫を取材した。「ばかむぬ(若者)持って行け」。武骨な手でわしづかみされたモズクをお裾分けしていただいた。真水につけ置き塩分を抜いて、早速ひとすすり。潮の香りが鼻をくすぐり歯をはじくようなシャキシャキ、とぅるんとのどを通り過ぎていく。「ずみ!」だ。

 15日付本紙によると、旬を迎えているというのにコロナの影響で県産モズクの販売が低調だという。毎年4月第3日曜日は「モズクの日」。まだ食べていないという方は、ぜひとも宮古島産を。きっと驚くはずよ。

(宮古島市、多良間村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。