原料高「収益を圧迫」73% 企業の価格転嫁進まず 沖縄公庫調べ 


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)は19日、原油や原材料価格の上昇に関して県内企業を対象に実施した調査の結果を発表した。回答した316社のうち、収益を「大きく圧迫している」が25・3%で、「やや圧迫」の48・4%と合わせると73・7%を占めた。競合他社との価格競争や取引先との交渉を理由に、価格転嫁に踏み込めない実態も浮かび上がった。

 業種別では製造業が「大きく圧迫」が50・9%、「やや圧迫」が49・1%で、「影響はほとんどない」はゼロだった。価格上昇の影響が限定的な情報通信産業は94・4%が「影響はほとんどない」と回答しており、業種による違いが際立った。

 増加した経費(複数回答)として82・8%が「燃料費」を挙げ、「原材料費・資材費」も67%だった。業種別では建設業、卸売業、小売業、運輸業、サービス業で燃料費が、製造業と飲食店・宿泊業では原材料費・資材費が最も高かった。

 一方、価格転嫁については17・6%が「全くできていない」と答え「ほとんどできていない」(21%)と合わせて38・6%となった。「ある程度している」は24・5%、「今後予定している」は22・3%だった。

 価格上昇に対する取り組み(複数回答)については仕入れ先の見直しや代替原材料の採用といった経費削減に関する回答のほか、「特に対策はない」も35・6%を占めた。

 価格転嫁が思うようにできない理由として50%が「競合先との価格競争」を選び、「取引先との交渉困難」(26・7%)が続いた。

 価格転嫁が進んでいない背景について、公庫の担当者は「運輸業で値上げに監督官庁の許可が必要であることや、仕入れ先と長期契約をしていることなどの声が聞かれた」と説明した。

 調査は2月下旬から3月下旬に実施した。

 (當山幸都)