復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月21日「基地など境界線不明確」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月21日の琉球新報1面トップは、復帰後の米軍基地の土地の在りようについて「土地所有権確定に特別立法/総務長官が答弁/基地など境界線不明確」との見出しで政府方針を伝えている。記事では「沖縄が太平洋戦末期に米軍に占領され、土地台帳なども焼失したため、米運に接収された土地の所有権がはっきりしないものが多い。特に復帰語、米軍から返還される基地、電力、水道施設や復帰後米軍、自衛隊に再提供する基地などの境界線が不明確なため、土地所有権の確定が困難な情勢にあり、復帰語土地所有権をめぐる訴訟事件の多発も予想される」と指摘している。

 関連記事で「公用地法/二十七日にも告示/石川ビーチ問題/防衛施設庁が調査」との見出しで、土地の強制収用に関して「大部分は五年を考え、一時使用などについては一年を予想している」との国会答弁を紹介している。また別の記事で「強制使用対象土地/告示では特定せず/島田長官言明/使用期間など官報記載」と防衛施設庁の方針を解説している。

 本土復帰に伴う琉球政府と本土政府の会計年度の違いをめぐり「収入落ち込み/適切な措置検討/瀬長氏質問に自治省語る」との見出しで、「1972年会計年度で琉球政府の約1千百万ドルの収入落ち込みが予想され、琉球政府はその対策に苦慮している」と背景を説明している。

 ほかに1面には、世界的な動きとして「けさ月着陸/アポロ16号」との記事も掲載している。さらにベトナム戦争の情勢がらみでは「北ミグ、米韓に初攻撃/駆逐艦に大損害与える」と、北ベトナム軍による米軍への反撃を伝えている。  

 

 

 

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。