「遺骨まで返してもらえない」 遺骨返還訴訟棄却 原告ら涙流し訴え


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記者会見で控訴する意向を示す原告の松島泰勝さん(左から3人目)ら=21日、京都市内

 「復帰50年を経ても人間扱いしてもらえない」「基本的人権はどこにあるのか」―。琉球遺骨返還請求訴訟で棄却の判決を言い渡された原告らは21日、京都市内で開いた記者会見で涙を流して訴えた。同日夜に京都市内で開かれた集会では、全国から集まった支援者とともに「控訴し、返還を勝ち取るまで頑張ろう」と声を上げた。 

 第一尚氏の子孫として原告になった亀谷正子さん(77)は「国際的な潮流を踏まえた判決に期待していたが、残念だ。明らかな泥棒でも保管状況がよければ返さなくていいのか」と判決を批判した。「遠い祖先がいたから今の私の命がある。必ず遺骨を取り戻したい」と語った。

 原告の玉城毅さん(72)は「判決も遺骨を研究の対象として、物として扱っている」と批判し、控訴する意向を示した。

 原告の松島泰勝龍谷大学教授は時折、涙で声を詰まらせながら「残念だ。怒りを感じる。沖縄は土地を米軍基地に奪われ、遺骨まで返してもらえない」と指摘した。遺骨を持ち出した研究者について「形質人類学は帝国主義の正当化に使われてきた」と述べ、法廷で日本の植民地主義を問い続けることを誓った。

 原告5人のうち前衆院議員の照屋寛徳さんは15日に死去。集会で照屋さんへの追悼の言葉も相次いだ。丹羽雅雄弁護団長によると生前の照屋さんを含め、原告全員が不当な判決なら控訴する意向を確認していたという。

 丹羽さんは控訴審について「今回の判決は京都大が遺骨を占有している権限について判断していない。先住民族の権利と併せ、高裁で深めていきたい」と展望を述べた。 (宮城隆尋)