沖縄市長選、選挙戦の構図や当選ラインは? データで読み解く


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【沖縄】沖縄市長選は24日の投開票まで残り2日となった。選挙は新人で前市議の森山政和氏(73)と、3期目を目指す現職の桑江朝千夫氏(66)の一騎打ちとなっている。過去の投票結果や投票率などのデータから市長選の特徴や傾向を見る。
 (’22沖縄市長選取材班)

<勢力・対立図>自公対オール沖縄の構図に

 森山氏と桑江氏それぞれの推薦政党を見ると、森山氏は玉城デニー知事を支える「オール沖縄」勢力や国政野党を基盤とし、桑江氏が県政野党、国政与党の自民党、公明党が支援する構図となっている。今回の選挙は両陣営とも、従来の支持基盤だけでなく、無党派層の支持を獲得するための戦略が目立つ。

 森山氏は玉城知事を支える「オール沖縄」勢力の支援を受け、基地問題での強い対応や辺野古新基地建設反対などを掲げる。ただこれらを前面には出さず、特に市民所得の低迷を指摘し、給食費無償化や「人への投資」を掲げ、無党派層や子育て世代への浸透を図る。

 桑江氏は政権与党の支援を受け、自身が推進する東部海浜開発事業や胡屋地区のバスターミナル整備事業などでの国との連携を強調し、保守支持層や経済界に支持を働き掛ける。一方、「子どもの貧困対策」を掲げ、無党派や若年層への訴えにも力を入れている。

<投票率>当選ライン3万票か

 沖縄市長選は1990年以降、8年ごとに革新系候補と保守系候補が交互に市政を奪い合う流れが続いてきた。

 90年の市長選では、革新系の新川秀清氏が4期目を目指した桑江朝幸氏に3764票差を付けて勝利した。新川市政は2期8年続いたが、3期目を目指した98年の市長選で保守系の仲宗根正和氏が当選した。

 その8年後の2006年には革新系の東門美津子氏が保守系の桑江朝千夫氏に勝利した。一方、その桑江氏が8年後の14年に実施された市長選で東門氏後継の島袋芳敬氏を2189票差で下し、保守市政が奪還した。

 沖縄市長選の投票率は80年代までは80%を超えたこともあったが、長期的には下落傾向が続く。前回18年の市長選の投票率は、過去最低の47・27%となった。県内第2の都市で投票率が初めて50%を割ったことに両陣営とも衝撃を受け、今回の選挙では投票率の回復を目標としている。

 今選挙で森山陣営は54%以上、桑江陣営は55%以上の投票率を目標に、投票呼び掛けを活発化させている。ただ20日段階の期日前投票数は前回選挙と比べて大きくは伸びておらず、両陣営は投票日に向けた掘り起こしに力を入れる。

 沖縄市の選挙人名簿登録者数は16日現在で11万2739人。両陣営は想定する投票率を基に、3万人程度を当選ラインと推定し、支持者の基礎固めと無党派層の支持獲得に奔走している。