部活動改革へ周知徹底を 沖縄県教委が強化指定校を視察、意見交換も


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部活動の在り方について意見交換した県教育委員会保健体育課の職員(右列)と前原高校空手道部の顧問(左列中央)ら=16日、同校

 県教育委員会保健体育課は16日、県内運動部の強化指定校の一つ、前原高校の空手道部を視察し、顧問らと部活動の在り方について意見交換した。県教委は2021年1月にコザ高2年(当時)の運動部主将だった男子生徒が部活動顧問から執拗(しつよう)な叱責(しっせき)を受けて自殺したことを受け、昨年末に「部活動の在り方に関する方針」を改定した。巡回訪問はその方針の周知徹底を促しながら、勝利至上主義に陥らないよう指導助言することが目的。

 巡回訪問は5月末の県高校総体前までに、運動部強化指定校26校43部の視察を終える予定。部活の様子を見学した後、管理職と顧問、外部コーチ、保護者会会長らと意見を交わす。

 前原高空手道部との意見交換で県教委は「本年度は暴力・暴言・ハラスメントのゼロ元年として位置づけている。県教委と学校が一体となって実現させなければならない」と強調した。県教委は3月末までに方針の取り組みを確認できるチェックシートを各校に送った。シートの活用や、徹底されていなかった部活動の活動計画の提出の徹底などを求めた。

 宮城敏也校長は「(自殺した生徒の)遺族の思いを職員に伝えながら取り組んでいきたい」と話した。外部コーチの田村正人さんは、改定の趣旨に理解を示した上で「強化指定校では特に、顧問の先生方はいろんなプレッシャーを感じながら指導に励んでいる。教員の就業時間の長さが改善されないまま、新たな取り組みは継続できるものでなければ、子どもと関わる時間はさらに短くなる」と指摘し、部活動改革と教職員の働き方改革の推進を求めた。

 県教委の城田亮指導主事は「部活動改革は特に、先生方の働き方改革の1丁目1番地だ。再発防止を一番に考えながら、どう現場をサポートできるか模索している」と説明した。
 (嘉数陽)