四輪のプロを目指す17歳 平安山がF4に挑戦「まずは一戦一戦で成長」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
テスト走行で四輪の感触を確かめる平安山良馬。今季からフォーミュラに挑戦する=静岡県の富士スピードウェイ(提供)

 カートの全日本選手権最上位クラスで2年間、経験を積んできた平安山良馬(17)=興南高3年=が今季から、自動車レースのフォーミュラに参戦することが決まった。クラスはフォーミュラで最も下のカテゴリーFIA―F4選手権。5月3~4日に静岡県の富士スピードウェイで初戦となる第1大会第1、2戦を行い、11月まで14レースに参加する予定だ。カートを卒業し、新たな舞台への階段を上る平安山は「まずは一戦一戦で成長して、来季につなげられるようにしたい」と気持ちを高ぶらせている。

 若手ドライバーの登竜門とされる全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権(SFL)に参加している平良響(コザ高出、Kuoモビリティ中京TOM’S)に続く、県勢男子で2人目の自動車レーシングドライバーの誕生だ。

 平安山は小学生からカートで腕を磨いてきた。高校1年の時、最上位クラスに昇格し、1年目で年間4位の成績を収めた。同時に18歳以下でも6位以内で付与され、自動車レースに挑戦できる限定Aライセンス資格を取得した。

 2年目はレースをこなしながら、来季のフォーミュラ挑戦を見据え、トヨタの若手ドライバー育成事業に伴うオーディションに参加した。書類選考で90人から18人に選ばれ、そこからさらに試走する一次選考で6人に残った。

フォーミュラの車両はカートと「全く違う」と心躍らせる平安山良馬

 車体の大きさ、機材の複雑さ、コースの広さなどカートとは「全然違う」と別次元の操作能力が求められた。全てが初めてのことだったが、講師に自ら助言をもらいに行くなど熱心に指導を仰ぎ、積極的に取り組んだ。

 12月の最終選考で「決して一番の速さではなく苦しいところもあったが、走り以外のところで評価してもらったんだと思う」と、合格者3人の中に選ばれた。2年目のカート最上位クラスは、1年目と比べ「メカニックとの会話が増えた。コミュニケーション能力が磨かれ、大切さを知った。それが生かされたのかもしれない」とも振り返った。

 速度はフォーミュラが断然速いが「スピード感は気にならない」と頼もしい。持ち味はレース展開の修正力と、ここ一番での判断力だ。

 国内最高クラスの全日本スーパーフォーミュラ選手権を大きな目標に掲げる。練習環境のない沖縄だが、県外での少ない練習機会と本戦で着実に力を付けるしかない。「目指しているのは四輪のプロ。来年につながるような走りをして、評価を得られるように頑張りたい」。トップクラスのドライバーへ。成長を誓い目標に向かって、一歩を踏み出す。

(謝花史哲)


<用語>FIA―F4

 FIA(国際自動車連盟)規定のフォーミュラレース。フォーミュラ1世界選手権(F1)を頂点に、スーパーフォーミュラやF2などのトップカテゴリーが続き、その下にスーパーフォーミュラ・ライツなどのF3が位置する。F4はF3の前段階のレースで若手やアマチュアが腕を磨く部門として運営されている。