宮古島ヤギのブランド化へ 多産化の技術学ぶ 獣医師を招いて勉強会


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
ヤギ生産者に発情を促進する技術について説明する寺内光夫さん(中央)=9日、宮古島市上野新里

 【宮古島】宮古島市山羊生産流通組合(新里聡組合長)は9日、市上野新里のヤギ舎で獣医師の寺内光夫さんを招いた勉強会を開いた。組合員や市職員らが参加し、大型ヤギの増産に向けて、多産化を図る技術を学んだ。

 組合では宮古島産ヤギのブランド化による収益向上のため、市の支援を受けながら飼育するヤギの大型化に取り組んでおり、勉強会はその一環で開いた。

 講師を務めた寺内さんは栃木県で約40年、牛の繁殖研究を続けている。近年は観光資産としてヤギの活用を目指し、琉球大学などと連携してヤギ生産の研究に取り組む。

 勉強会では母ヤギの発情を誘発することで、通常年1回の出産を2年で3回の出産(2年3産)が図れる技術を伝えた。ホルモン剤などを投与し発情を誘発する施術で、牛を対象に広く実施されているものを応用した。

 寺内さんはヤギの妊娠期間が150日であることを挙げ、「2月に出産すると秋まで空胎となる。この期間を利用すると2年3産にできる可能性がある。飼料や人件費など経費は同じで生産頭数が増やせる」と説明した。

 飼養についても大型化に適した飼養技術の浸透が不可欠と指摘した。「大型になってもこれまでの小さいヤギと同じ飼育方法では栄養不足に陥る。栄養が足りていない状態で妊娠しても死産など事故が起きやすい」と改善の必要性を説いた。

 新里組合長は「増産は組合の優先課題だが技術がなかった。この機会に組合員も専門家の知識を取り入れて、自分のヤギは自分で増やせるよう技術を習得してほしい」と話した。
 (佐野真慈)