復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月24日「観光を重点に開発/米軍基地があい路」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月24日の琉球新報1面トップは、経済企画庁による復帰後の沖縄の開発構想について「観光を重点に開発/環太平洋観光ルートの一環/米軍基地があい路/宜野湾―石川、高速道路も/企画庁あす構想示す」と政府の方針が示されることを伝えている。写真には名護湾に面した西海岸の七曲がりとみられる空撮写真で、「空からながめた名護市付近。観光開発が待たれている」との説明文を付けている。

 記事では「基本構想は昭和六十年の沖縄の未来像を描くもので、企画庁事務当局がこれまでにまとめた基本的な考え方では、沖縄を東南アジア、中国、米国に向けて開く『日本の南の窓口』である中継・交通基地として位置づけるとともに『環太平洋観光ルートの一環』との考えを打ち出すなど、観光開発に重点を置くと同時に、全県土に開発可能性を及ぼすとの配慮を合わせて示している」と構想の概要を解説。さらに「こうした観光開発を進めていくためには〝基地の中の沖縄〟といわれるように、本土復帰後もほとんどそのまま残る米軍基地の存在が大きなネックになると予想される」と今後を「予言」している。

 復帰を前に政府が復帰関連法などの環境を整える作業に迫られる中「政令づくりを急ぐ/公用地法施行令、閣議に」との見出しで、政府がつくらなければならない政令が約50件になるとみられると伝えている。具体的には、復帰特別措置法や沖縄振興法、沖縄開発庁法、沖縄金融公庫法、防衛庁法関連などの政令が挙げられている。

 ベトナムでの戦火拡大を受けて広がる米国の反戦運動を伝えるニューヨーク発の記事には「〝アウト・ナウ〟叫ぶ/全米2年ぶり反戦大デモ」との見出し。「アウト・ナウ(いますぐ撤退を)」と訴える米国内のデモの様子を伝えている。さらに関連記事として、ロサンゼルスでも反戦デモがj広がる状況を伝える記事は「沖縄基地反対/ロス、日本語のプラカード」との見出しで、デモに参加した日系などのアジア系学生400人らが「沖縄軍事基地反対」と日本語で書いたプラカードを持ってデモに参加したことを紹介している。

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。