復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月25日「沖縄への自衛隊物資きょうから輸送開始」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月25日の琉球新報1面トップは、「30件の『沖縄政令案』決まる/きょう閣議で決定/公用地法の施行令も」との見出しで、復帰に向けた政府の環境準備の中で復帰関連法の政令の中身が固まり、閣議での決定を待つ段階になっていると紹介している。関連記事で、運輸省関連で港湾法施行令の一部改正で「運天、那覇、平良、石垣の四港が港湾法による重要港湾となる」と伝えている。

 沖縄の自衛隊配備に関連して「きょうから輸送開始/防衛庁/沖縄への自衛隊物資」との見出しで、国防会議の自衛隊沖縄配備計画の決定を受けて進められるものだ。自衛隊の沖縄への物資輸送をめぐっては、国防会議で配備計画が決定される前の3月に、航空自衛隊が那覇港まで物資を運んで「先取り移駐」との批判を受けて国会でも問題視されてきた経緯がある。

 自衛隊物資の輸送方法については「陸上自衛隊は二十五日、民間のチャーター船で鹿児島港からマイクロバス一台、隊員の寝具、炊事用具を輸送、二十六日に那覇に着く。また五月四日、門司港から〇・五トントラック、ジープなどの物資を送り出す」との輸送計画を紹介している。さらに「海上自衛隊は五月二日、長崎港から民間の船で貨物乗用車、寝具などを積み出し、航空自衛隊は二十六日と五月四日の二回、千葉県木更津基地からYS11機で寝具、事務用具を送る」と説明している。

 その上で武器については「各自衛隊とも、武器は復帰日の五月十五日以前には現地へ運び込むことはしない方針」だと記している。

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。