開発計画の前進に期待 市民生活の底上げ課題<解説>


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 桑江朝千夫氏の再選は、2期8年の「実績」を強調した訴えが支持を得た。目玉政策に掲げてきた「1万人アリーナ整備」が昨年実現した中、桑江氏はアリーナを起爆剤とした「コロナ後の経済再生」を訴えた。「経済と福祉は両輪」として福祉の向上も掲げ、知名度の高さも相まって無党派を含む幅広い層の支持を獲得した。

 国道拡幅に合わせた胡屋北交差点へのバスターミナル整備構想や、国が実施する東部海浜開発事業で、国政与党との良好な関係を背景にした計画前進への期待も集めた。

 一方、選挙戦で相手候補は市民所得が県内下位にある実情などを指摘し、市の課題も可視化された。桑江氏も子どもの貧困問題解決に全力で臨むとしており、市民生活の底上げは重要課題だ。

 中心市街地の旧コザ市では人口流出や高齢化の進行が積年の課題だ。桑江氏が掲げた活性化策で中心市街地を再生できるかも試される。

 市の「南の玄関口」であるキャンプ瑞慶覧ロウワー・プラザ地区の返還と跡利用、市東部の海浜開発事業などの計画が動く中、市全体の未来図をどう描くかも問われる時期だ。米軍牧港補給地区の一部返還に伴い、市北部には倉庫群が移設され、嘉手納基地の騒音被害が大きな地域で負担が増す。基地負担の軽減や、市の均衡ある発展へのかじ取りも求められる。

 (島袋良太)