桑江氏 無党派層取り込む 森山氏 短期決戦で苦戦<勝因・敗因>


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 現職の桑江朝千夫氏の勝利は、2期8年にわたって市長を務めた圧倒的な知名度が大きかった。沖縄アリーナ整備などの経済振興策に加え、若年妊産婦の居場所づくりなど、福祉・子育て施策の実績もアピールし、無党派層からの支持取り込みに成功した。国政与党から支援を受ける形で、組織票や企業票も手堅く押さえた。

 バスターミナル構想や東部海浜開発事業などで国との連携もアピールし、政策の高い実現可能性を訴えた。経済活性化を重視する現役世代の支持にもつながった。

 新人の森山政和氏は、玉城デニー知事とセット戦術を展開し、「オール沖縄」勢力の支援を受けて選挙戦に臨んだ。しかし野党側の候補者選定が遅れて短期決戦となり、態勢を十分に整えられなかった。知名度の浸透が及ばず、苦戦した。

 玉城県政を支持する立場を示したが、基地問題は前面に打ち出さず、給食費無償化など市民生活の向上を大きく掲げて無党派層の支持獲得を図った。ただ、基地問題を重視する層からの支持は得たものの、経済振興策は浸透しなかった。

 経済活性化を重視する市民の多くは桑江氏に票を投じ、保守層の切り崩しや無党派層の取り込みには至らなかった。

(石井恵理菜)