被害者バッシング モバイルプリンスの知っとくto得トーク[256]


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2019年4月に起きた池袋暴走事故【※1】の被害者家族へ誹謗(ひぼう)中傷・侮辱的な書き込みを行ったとして、警視庁は先月、愛知県に住む20代の男性から任意で事情を聴き、今後書類送検する方針であることが報じられました。

被害者やその家族に対し誹謗中傷・侮辱、バッシングする行為は、ネットの世界でよく目にします。事件事故で苦しんでいる人を再び傷つける、非常に許しがたい行為です。

 

※1 池袋暴走事故 … 東京の池袋で当時87歳の男性がブレーキとアクセルを踏み間違って暴走運転をし、母親と3歳の子どもが亡くなってしまいました。この事故を受け、高齢者の自動車の運転について社会の中で大きな議論となりました。この事故で妻と子どもを亡くした男性は、事故による被害者が少しでも減る世の中になるよう、顔と名前を出してさまざまな情報を発信しています。

 

イラスト・小谷茶(コタニティー)

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こうした話題で要因として考えられるのが「公正世界仮説」です。これは「良い人には良いことが起きる」「悪い人には悪いことが起きる」として「世界は公正に動いている」と考えることです。

公正世界仮説は「悪いことが起きたのは、悪い人だったからだ」と被害者をバッシングする考えに至ってしまうことがあります。

実際は、その人がどうであれ良いこと・悪いことは起こります。被害者バッシングをする全ての人が公正世界仮説によるものではないでしょうが、この言葉を知っておくことで、自分が被害者を責めようとしたときのブレーキになるのではないでしょうか。

 

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今やSNSで誰もが「ニュースコメンテーター」になれる時代です。戦時中の独裁国家などでは、自分の意見が自由に言えませんから、自由に発信できることそのものはとても素晴らしいことです。

しかし一方で、デマ、誹謗中傷・侮辱、そして被害者バッシングなどの問題も数多く出ています。

気軽にニュースコメント欄に投稿することで、被害当事者へ届く可能性もあるため、発信の仕方をしっかり考える必要があります。

 

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ スマートフォンアドバイザー、フリーライター。沖縄県サイバー防犯PR大使を務め、スマホやインターネットの活動講座を学校などで実施。本連載をまとめた著書「しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール」(旬報社)も発売中。

http://smartphoneokoku.net/