復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月27日「あす、最後の『4・28』」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月27日の琉球新報1面トップは、「社大党、復帰後も存続/『自治、豊かな県づくり』/基本権に反戦平和も」との見出しで、本土の社会党への結集の話もあった沖縄の地域政党の社会大衆党が最終的に独自で存続する道を選んだことを伝えている。

 紙面中央には「あす、最後の『4・28』」との見出しで、沖縄県祖国復帰協議会が、沖縄が日本から切り離された「屈辱の日」である「4・28」に「こんどの復帰が県民を無視した沖縄処分である」との姿勢で抗議の県民大会を開く方針を伝えている。

 米軍岩国基地からベトナムへの出撃が日米で取り決めた事前協議の形骸化だと問題視されていることに対して、日本政府側が事前協議の「再検討」を言い出していることに関し「〝現状の合理化が目的〟/野党、事前協議再検討に警戒強める」との見出しで、野党側が協議の行方を怪しんでいる様子を伝えている。記事では「『実質的に日本の基地がベトナム戦の戦闘作戦基地として使用されている』―と野党が批判する現状を合理化する結果にならないか―と警戒を強めている」と指摘している。

 ベトナム戦争に関連しては「ニクソン、きょう重要演説/ベトナム情勢急展開の可能性も」との見出しで、ワシントン発の共同電を掲載している。記事では「ニクソン大統領はこの中で、五月一日以降の南ベトナム駐留米軍の兵力水準についての決定を発表するとともに、攻撃が始まってい以来のベトナム情勢を報告し、大統領の評価を国民の前に明らかにする予定である」と記している。

 このほか、復帰後の軍用地を強制使用できるようにする公用地法について「防衛施設庁、きょう使用告示」との記事も掲載している。

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。