〈104〉睡眠と生活習慣 適切な食事と運動を


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 日々ぐっすり眠って、朝に気持ちの良い目覚めを迎えたいのは万人の願いだと思います。良い睡眠をとる事がわれわれの健康維持に大切だという事は知られていますが、良い睡眠をとるためにわれわれが日常生活で心掛けるべき事は何か考えてみたいと思います。

 睡眠はわれわれ人間にとって特別な現象ではなく日中の生活習慣と同じく、生きていくために必要な大切な生活習慣です。そのため睡眠と食事や運動といった基本的な生活習慣には密接な関係があります。

 適切な食事、適切な運動習慣がなければ、良い睡眠をとる事はできません。適切な食事・運動といった基本的な生活習慣を整えると睡眠の質は良くなるので、生活習慣を整える事こそが良い睡眠をとるために最も大切な事になります。

 それでは良い睡眠をとるための適切な生活習慣とは具体的にどうするべきかを考えてみたいと思います。まずは食事についてですが、朝ご飯を規則的にきちんととる事は体内時計を整える作用があると言われています。

 反対に不規則で夜遅い時間の食事は体内時計の機能を妨げ、睡眠の質が悪化すると考えられています。食事の内容は一般的に言われる栄養バランスが良い食事を規則的にとればいいと思います。運動に関しては食事と同様にバランスよく規則的である事が大事だと言われています。スポーツジムで激しい運動をする必要はなく、日々歩数計を付けて毎日6千歩以上歩くようにするなど、規則的で毎日できる運動を取り入れる事が重要です。また積極的に外で歩く事により太陽光を浴びる機会が増える事になり、夜間のメラトニンという睡眠物質が増えて睡眠の質が良くなります。

 反対に夜間の遅い時間にスマートフォンなどの人工光を浴びすぎるとメラトニン分泌を低下させ、遅い時間の激しい運動や入浴は寝つく際に体の芯の体温が上がりすぎて睡眠の質を下げてしまいます。

 睡眠の質を上げる方法はさまざまで、日々の生活の中でわれわれが簡単にできる事はたくさんあります。今日からの皆さまの日常生活で健康維持のために活用していただきたいと思います。

(高江洲義和、琉球大学病院 精神科神経科)