沖縄を「平和創造の拠点」に 衆院で28日にも復帰50年決議


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
国会議事堂

 【東京】沖縄の日本復帰50年について国会での決議を巡り、28日にも開かれる衆院本会議で採決する方向で与野党が最終調整していることが26日、分かった。決議案では「強い沖縄経済」の実現に向けた沖縄振興の推進や「平和創造の拠点」としての沖縄を打ち出す。「万国津梁」の理念に基づく人材育成も求める。衆院沖縄北方対策特別委員会で議論となった「日米地位協定」の見直しに踏み込まなかった一方で、「米軍基地の負担軽減」を政府の「責務」とした。

 決議案を巡っては、参院でも27日の参院政府開発援助等及び沖縄北方特別委員会(青木一彦委員長)で決議が採択される見込みだ。

 衆院本会議に提出されるのは「強い沖縄経済と平和創造の拠点としての沖縄をつくる本土復帰50周年に関する決議案」。

 5月15日に沖縄の日本復帰50年の節目となるのを踏まえ、沖縄戦の「苛烈な地上戦」と長い「米軍統治」の経験を踏まえ、「沖縄振興を国家戦略として取り組む」とした。

 復帰直前の1971年、復帰25年の97年に行われた決議を踏まえて5次にわたる沖縄振興を振り返り、「全国最下位の一人当たり県民所得」「子どもの貧困」を「沖縄の特殊事情に起因する課題」と指摘。海外との交易で栄えた琉球王朝時代から伝わる「万国津梁」の理念に基づいた「人材育成を行う必要がある」とした。

 米軍基地問題については「事件、事故の防止を含む米軍基地の負担軽減と諸課題の解決に向けた責務を果たす必要」が政府にあるとしながらも、日米地位協定の改定・見直しには踏み込まなかった。参院沖北委で提出される決議案は、衆院沖北委での決議と同様、「日米地位協定」の記述を巡って与野党の調整が続いている。
 (安里洋輔)