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五輪ペアとの出会い糧に 「知識や経験、還元したい」 バドミントン琉球ブルファイツ・金城智大<ブレークスルー>


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メンバーと練習に励む琉球ブルファイツの金城智大=21日、具志川総合体育館(又吉康秀撮影)

 バドミントンの男子クラブチーム「琉球ブルファイツ」に1月、糸満市出身の金城智大(29)=沖縄水産高―東海学院大出=が加わった。2010年の美ら島沖縄総体で全国16強に入った実力は折り紙付きだ。「大学までで競技は引退しようと思っていた」というが、さまざまな縁でつながり、現役選手として技を磨き続けている。昨年11月末、岐阜から沖縄へ戻った。「県外で学んできた知識や経験を地元に還元したい」とチームの主力を担い、全国の猛者と肩を並べる領域を目指す。

■五輪ペアとプレー

 金城のキャリアで大きな糧となったのが、五輪ペアのスパーリング相手をした経験だ。東京五輪で女子ダブルスに出場した福島由紀・廣田彩花ペアの調整役として2020年4月から約1年半、練習相手を務めた。「福島選手は速く攻めるスタイルでこちらは引くに引けないし、廣田選手は相手の動きを丁寧に見て、しっかりシャトルを動かす巧みさがあった」とトップ選手の技術を肌で感じた。「女子とやっている感覚はなかった」とも。

 コロナ禍で五輪開催が1年延び、さらに選手は海外遠征もできない状況だった。平日は午前9時半から午後6時半、土曜日は午前中とみっちり練習が組まれていた。

 「そこから得た経験は大きい。領域が違うというか、彼女たちの見えている世界が違う。フィジカル、テクニック、競技に対する考え方など自分のスペックが上がり、プレーの幅が広がった」とかけがえのない時間を過ごした。

 三つ年下で幼少から共にプレーしてきて、再びチームメートとなった西平賢矢は「これまであった雑な部分がなくなり、洗練されていた。元々プレーに華があり、理論派。打ち返す一球一球に意味を持たせている」と評する。

美ら島総体で全国16強入りした金城智大=2010年8月1日、豊見城南高校体育館

■縁つながり現役

 金城は小学校2年から競技を始め、地元のジュニアチームで徐々に力を付けた。岐阜の大学を卒業後は、沖縄の専門学校で整体師の資格を取得した。県外の接骨院から就職内定をもらっていたが、ふとしたきっかけから競技を続けることを決意した。

 後輩から声を掛けられる形で栃木の実業団、大学の恩師からの誘いで岐阜の会社へと渡り歩いた。

 バドミントンを事業にしていた岐阜の会社では子どもたちや初心者向けに指導するレッスン業務を担った。福島・廣田ペアが所属していたチームを抱えていた会社だったが、コロナ禍でチームを支えていた親会社が代わってしまう困難にも直面した。数々の経験を乗り越えながら現役を続けている。

 照準を合わせるのは大阪市で行われる6月の全日本実業団選手権。「僕が勝てば、みんなのやる気に火を付けられる。県外での経験、いろんな知識を他の選手にどんどん伝えていきたい」とチームの成長を促し、全国レベルの高みを見据えた。

 (大城三太)