復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月28日「きょう平和条約発効20周年」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月28日の琉球新報1面トップは、「第11管区海上保安本部、配備計画まとまる/巡視船6、ヘリ2/尖閣列島の巡視強化/沖縄重視の陣容」との見出しで、復帰後の沖縄の海上保安組織についての配備計画を紹介している。記事では「第十一管区海上保安本部の特色は中国、台湾との間で国際的問題になっている尖閣列島の周辺海域のパトロール強化である」と指摘している。関連して「午後5時半から県民大会/与儀公園で」と、沖縄県祖国復帰協議会が主催する県民大会の告知記事も掲載している。

 復帰に伴う大量解雇へ抗議していた全軍労の無期限ストの収拾判断を巡り組合員から反発が上がっていたことに関連して「全軍労、三役が辞表/臨時執行部がスタート/組織再編に進む」との見出しで、新生スタートを切ったことを伝えている。吉田勇委員長のあいさつについて「大量首切り合理化にストライキで対決し、間接雇用制の諸要求を戦ってきた。しかし、日米支配者の壁は厚かった。(中略)一部組合員の妨害で中執委も開けず三役指令でスト収拾を図らねばならなかったことは残念である」と紹介したが、記事では「この間、すべてのあいさつに対し、激しいヤジが飛んだ」と雰囲気を紹介している。

 人民党の政策発表会見の記事では「協定の屈辱的条項の廃棄」との見出しで、復帰前後の運動方針について確認したことを伝えている。

 復帰後の県知事選を巡って「公明 屋良支持を声明/〝わが党の理念に沿う〟」との見出しで、公明党県本部が発表した方針について伝えている。

 復帰後の暮らしに関することについて「住民税13%の減税/復帰で税に特別措置」と、復帰に伴う地方税法適用の特別措置についての政令が決まったことで、具体的な減税率を列挙して紹介している。

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。