復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月29日「沖縄予算2202億3千万円」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月29日の琉球新報1面トップは、「〝反戦平和〟の戦いへ/米施政下最後の『4・28』/『沖縄処分』を糾弾/反自衛隊闘争を強化」との見出しで、「屈辱の日」の4月28日に那覇市の与儀公園で開かれた「完全復帰を要求する4・28県民総決起大会」の模様を大きく伝えている。

 関連して、隣の記事では「『自衛隊反対』前面に/統一メーデー/政治色打ち出す」との見出しで、この年の5月1日の那覇市のメーデーが沖縄復帰に関連して「佐藤内閣打倒」「自衛隊反対」をスローガンを掲げて開かれるとの記事も掲載している。

 復帰後の沖縄県の公共事業費など沖縄県庁に代わって沖縄・北方対策庁が一括計上した沖縄関係予算について、「沖縄予算決まる/47年度予算/2202億3千万円」と参院本会議で予算案が可決されたことを報じている。

 復帰後に初めて開かれる沖縄県知事選の日程が決まり「6月25日に同時選挙/中央選管/県知事・県議選で決定」と選挙期日を紹介している。

 1972年春の叙勲で「『沖縄再建』で87人叙勲/大浜氏、沖縄初の『旭一』」との見出しで、元早稲田大総長で復帰作業にも貢献した南方同胞援護会会長の大浜信泉氏が勲一等旭日大綬章を受けるとの記事を掲載している。

 復帰の日まで1カ月を切っている段階で、参院予算委員会で復帰後の沖縄の米軍基地を列挙したリストについての議論が続いており「〝追加・削除もある〟/基地リスト/那覇空港は〝A表〟へ」との見出しで紹介している。答弁に立った福田赳夫外相は「基地リストの変更はないが、実体的に追加削除がある」と述べ、「那覇空港はP3(対潜哨戒機)の居すわりのため、一時的にA表の性格となる―ことを明らかにした」と記している。さらに核兵器の撤去について福田外相は「問題の性格上、撤去されたとも、されないともいえないのが残念だ」「とにかく、返還時にはロジャーズ国務長官の私あて書簡で核がないことが明確にされる」「核撤去の点検はできない。しかし復帰後も核存在の疑義があれば、疑問解明のための努力はする」と答弁している。

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。