米軍基地の認識、沖縄と本土の「溝」深刻 登壇者「基地を自分ごとに」 復帰50年、琉球新報・毎日新聞シンポ


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シンポジウム「沖縄復帰50年を問い直す」で、パネルディスカッションに臨む(右から)玉城デニー知事、宮城大蔵上智大教授、真喜屋美樹沖縄持続的発展研究所所長、五百旗頭真アジア調査会会長=28日、東京都千代田区の日本プレスセンター(毎日新聞提供)

 【東京】米軍基地の内と外での意識の違い、日本と沖縄の考えの隔たり、この溝をどう埋めていくか―。都内で28日開かれたシンポジウム「沖縄復帰50年を問い直す」は基調講演やパネルディスカッションで識者らが登壇し、この命題に向き合った。

 BS―TBS「報道1930」キャスターの松原耕二氏は自身の取材経験から「フェンスの中からは外が本当に見えていない。ただ、フェンスの中と外の分かりあえなさ以上に、沖縄と本土に横たわるフェンスが非常に深刻だと感じた」と基調講演した。

 パネルディスカッションで司会を務めたのは毎日新聞の前田浩智主筆。

 上智大の宮城大蔵教授は、基地問題で捉えると「沖縄対本土で言う本土とは東京の政府であるとも言える。地位協定は全国の基地所在地の問題でもある。沖縄は基地所在地や広島、長崎など各地の取り組みとつながってやっていくのも手だ」と話した。

 真喜屋美樹さんは、日本の問題が沖縄へ集約されていると言及。「私たちが近隣諸国を理解する時に、その国の内政はどう行われているかに着目する。同じく近隣諸国から見れば日本政府は沖縄とどう関わっているのかに着目すると思う。沖縄を今後も軍事のキーストーンにするのか、平和のキーストーンにするのか考えてほしい」と呼び掛けた。

 玉城デニー知事は、参加者から他県で協力できることは何かの問いに答え「基地があることを自分事として考え、勉強会も開いてたくさんの人で共有してほしい。その結果を地元の議会に陳情してほしい。この国を動かす主権者は皆さん国民だ」と話した。

 琉球新報の松元剛編集局長は基調講演で米軍基地と自衛隊が強化される一方の現状に懸念を示す県民もいることに触れ「沖縄に横たわる不条理、さまざまな課題に多くの人が関心を寄せてもらえるよう期待したい」と述べた。

(斎藤学、明真南斗)