復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月30日「沖縄からの米軍出動を非難」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月30日の琉球新報1面トップは、「復帰後の県予算/7-8百億円/みなす知事が専決/国庫補助を大幅計上」との見出しで、復帰後の1972年度の沖縄県としての予算編成について伝えている。記事では「他府県と事なり国庫補助金がほぼ決定しているため、国庫補助金にかかる事業費は執行を考え、大幅に計上する必要がある。(中略)しかし、県独自で自由に使える自主財源については算定が困難な点もあるので必要最小限度の経費のみを中心に編成しておき、九月の補正で議会の十分な審議をしてもらう」との琉球政府方針も示されている。

 ベトナム戦争に関連して、ベトナム労働党機関紙「ニャンザン」紙が伝えた内容について「沖縄からの米軍出動を非難」との見出しで紹介している。「ニャンザン」紙は、4月28日の「沖縄デー」にあわせて28日付で「アメリカは沖縄を即時、無条件、全面返還しなければならない」との解説記事を4分の1ページを割いて掲載しているという。

 このほか、復帰後にスタートする沖縄金融公庫について「貸し出し遅れる/法案不成立で」との見出しで、沖縄金融公庫法案が連休前に成立をみなかった影響について紹介している。

 また「民主党県本を結成/〝政治の不毛な対立破る〟」や「行政府職員/『身分』4日に内示/異議受け付けない」などと、復帰後の新たな体制に関連した記事も並んでいる。

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。