復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉5月2日「自衛隊が実弾射撃場計画/東村高江」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年5月2日の琉球新報1面トップは、「自衛隊が実弾射撃場計画/東村高江の伊湯岳/ノグチゲラの生息地/農林局文保委、防衛庁の動き警戒」との見出しで、復帰後の自衛隊による実弾射撃演習場新設の計画について伝えている。記事では、以前から国頭村安田、安波、楚洲の米海兵隊演習地内の官有林で自衛隊が実弾射撃演習を計画していたが、琉球政府や地元住民からの強い反対に遭ったため、米海兵隊の対ゲリラ戦に使用している東村高江の伊湯岳付近に射撃場新設の計画を進めている動向があると指摘している。

 1日から始まった連載「米統治の総決算」の2回目は「政党の設立」がテーマ。「党の主張貫いた社大、人民/戦後二年目、民主同盟が誕生」との見出しで、敗戦後の沖縄で政党の台頭がどう始まって、進んでいったか、歴史をひもといている。米施政下で抑圧された暮らしの中での不満や不備解消を求めて政治への希求が高まっていった経緯も紹介している。

 那覇市与儀公園で開かれた1日のメーデーの様子を紹介する記事では「〝新たな戦いへの出発〟/各代表、本土政府の施策、批判」との見出しで、「復帰不安を反映して祭りムードは薄く『自衛隊反対』『反動立法反対』などのプラカードがめだち、政治色の強いメーデーだった」と様子を表している。

 このほか、「現金輸送船着く/自衛隊LSTけさ、540億円積み」と通貨切り替えに備えて日本円の沖縄到着を知らせる記事が載っている。

 復帰に伴う基地従業員の身分についても「間接雇用条件を提示/施設庁、『下請け従業員』は除外」と、防衛庁が提示した雇用条件を紹介している。

 琉球新報の新聞購読料がドルから円建てに変わる社告もこの日に掲載されている。「本紙購読料金を円建てに/五月分から六三〇円」との見出しで、従来の購読料1ドル75セントを1ドル=360円のレートで読み替えて、5月分から月額630円とすると説明している。

 

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。