力強い差しに、迷いはなかった。女子76キロ級のスナッチで大学、大会新の100キロに挑んだ吉武温子(那覇国際高出―早大4年)はバーベルを突き上げながら成功を確信し、笑顔をはじけさせた。不安を振り払った思い切りの良さが結果につながった。「とにかくうれしかった」と万雷の拍手を受け、感激に浸った。
昨年7月以来の大会出場だった。大けがではなかったが「ちょっとした故障」が重なり、試合から遠ざかっていたという。その中で、こつこつと練習に励んできた。焦る気持ちを抑え、大学最後の年に照準を合わせた。
地道な取り組みが奏功し、練習では既にスナッチ100キロを成功させていた。しかし「試合は久しぶり」。不安で気持ちはネガティブになっていた。それを打ち消したのがチームメートや指導者だった。会場に響く声援やコーチのげきに背中を押され、出場2回目で初優勝をつかむことができた。
五輪は憧れだが、まだ実力不足と感じている。まずは大学で結果を出すことだ。昨年出場できなかった年末の全日本大学対抗選手権で「個人・団体で優勝する」と目標を掲げる。今回競った高校生の長島(京都)は、ジャークで日本新をマークした。「すごく刺激になった。もっと上を見た練習をしてきたい」と向上心を胸に、さらなる成長を誓った。
(謝花史哲)
重量挙げの第82回全日本・第36回全日本女子選手権大会第3日は4月30日、愛媛県新居浜市市民体育館で行われ、女子76キロ級の吉武温子(那覇国際高出―早大4年)がスナッチで大学新、大会新となる100キロを記録し、ジャーク116キロ、トータル216キロで初制覇を成し遂げた。同71キロ級の福里悠(宮古高―東京国際大出、県協会)はトータル209キロで準優勝した。男子89キロ級の平仲浩也(南部工高―法政大出、警視庁)はトータル314キロで準優勝。同階級の金城優人(南部工高―金沢学院大出、警視庁)はトータル293キロで6位。同102キロ級の請舛泰俊(沖縄工高出―自衛隊体育学校)はトータル320キロで3位だった。