日本島嶼(とうしょ)学会若手研究者ネットワーク支部の沖縄復帰50周年記念研究会が4月29日、那覇市のなは市民活動支援センターで行われ、同学会名誉会長の嘉数啓琉球大名誉教授が講演した。復帰後5次にわたり実施された振興計画の特徴を振り返り「沖縄には自立経済を確立する素材がいっぱいあるが、活用しきれていない」と指摘した。
振興策として導入された高率補助制度について嘉数氏は「補助率が高い分野に事業が集中し、本当に地域が自立できるようなプログラムに投資されていなかった」と弊害を挙げた。
金融特区などの施策は、範とした諸外国の金融特区では条件がそろっていたと指摘。沖縄は「(諸外国で)そろっていた立地条件がなにもない。政治の力で(金融機能を)持ってきても成功するはずがない」と効果を疑問視した。経済特区制度についても「鳴り物入りでつくられたが、制度設計もさることながら沖縄がうまく生かし切れなかった」と問題点を述べた。
1971年に琉球政府の屋良朝苗主席(当時)が、日本政府に示した建議書の内容を高く評価しつつ「一国二制度や道州制なども建議書に盛り込み、復帰の時点からやるべきだった」と語った。
(知念征尚)