中華航空、定期貨物便を来月再開 コロナ後見据え


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コンテナを搭載することができる中華航空のエアバスA330―300(提供)

台湾の航空会社の中華航空が、沖縄―台湾を結ぶ国際貨物輸送について、6月にも旅客機を使った定期便を開始する方向で準備を進めていることが分かった。新型コロナウイルスの感染拡大で那覇空港の国際線は全便運休が続いているが、同社はコロナ沈静後を見据え、定期便を運航することで国際線再開に備える考えだ。便数などは今後検討するという。

 定期便再開の動きは、世界的な“ウィズコロナ”の情勢や、台湾内の沖縄観光に関する需要の高さが背景にある。

 日本政府は今年3月から観光目的を除く外国人の受け入れ制限を緩和したが、直行便は成田、羽田、中部、関西、福岡の5空港に限定されている。那覇空港の国際線再開には検疫体制の拡充が求められ、中華航空や台北駐日経済文化代表処那覇分処などが県などに改善を要望している。

 中華航空は1980年に沖縄路線を就航。新型コロナ流行前の2019年夏のダイヤでは1週間に4路線26便が運行していた。この年は沖縄への入域観光客数が暦年(1~12月)で初の1千万人を突破したが、外国人観光客293万人のうち台湾からは93万9700人と最も多く、外国人観光客全体の約3割を占めていた。

 同社によると19年の定期便乗客数では、那覇空港は成田、関西、羽田に次ぐ4位の実績を誇る。「安全で安心という日本のイメージに加え、地理的にも近く比較的短時間で移動することができることから、乳幼児を伴う家族旅行などで人気が高い」(同社の魏麟孫(ウェイリンスン)沖縄支店長)という。

 新型コロナの感染拡大で那覇空港の国際線は20年3月から全便運休している。中華航空は、那覇と台湾を結ぶ旅客機を使った国際貨物の直行便を20年12月~21年3月、ことし3月3日の計19便運行しており、コロナ下では唯一国際便を運航している。

 現在、県産品を海外に輸出する際には東京経由で輸送する必要がある。台湾との直行便は時間の短縮となり、生鮮品輸送などでメリットがある。同社は県内の経済団体を訪ね、定期便の利用を呼び掛けている。

 魏支店長は「台湾から沖縄を訪れたいという需要は根強い。貨物ではあるが旅客機で定期便を運行することで、国際線再開時には円滑に運行を再開することができる。一日も早い沖縄と台湾との交流を願いたい」と話した。 (小波津智也)