共に議員活動をやってきた仲だが「沖縄の現状を訴えたい」というのが上原さんの一貫した姿勢で、独立論を残していたとは驚いた。草稿を読むと、沖縄の将来設計や世界の小国の独立事例など時間をかけてよく勉強していたことが分かる。戦後米軍に差別された沖縄の人たちは、復帰後は日本人になろうと必死に努力を重ねた。上原さんも政治家として奔走した。それなのに、同じ民族として同等に扱われない現実にいつも憤っていた。草稿には上原さんの人生がにじんでいる。県民の心が独立心と中央依存に割れていく状況に胸を痛め、出版できなかったのかもしれない。
(共同通信)