ヤフコメとヘイトクライム モバイルプリンスの知っとくto得トーク[258]


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昨年8月、京都府宇治市の「ウトロ地区」で放火事件が発生しました。ウトロ地区は朝鮮半島出身者らが多く住む地域で、放火の疑いなどで逮捕された22歳の被告は「韓国が嫌いだった」と述べています。

人種、国籍、宗教など特定の属性への差別意識から引き起こされる犯罪行為を「ヘイトクライム」【※1】と呼びます。

この被告は、ウトロ地区以外にも民団(韓国の団体)愛知県本部への放火なども認めています。一連の放火事件はど真ん中のヘイトクライムと言えます。

 

※1 ヘイトクライム … ロシアがウクライナを軍事侵攻した後から、日本国内のロシア関連のお店の看板が破壊されるなどのヘイトクライムが発生しました。2020年に新型コロナウイルス感染が広がり出した当初、欧米でアジア人に対するヘイトクライムが発生しました。こうしたヘイトクライムが放置・容認される社会では、最終的に民族虐殺(ジェノサイド)につながりかねないとの指摘があります。

 

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被告は情報源として「Yahoo!ニュース」のコメント欄を挙げ、WebメディアBuzzFeedの取材に対し「ヤフコメ民(Yahoo!ニュースのコメント欄によくいる人)をヒートアップさせたかった」と事件の狙いを述べています。

「Yahoo!ニュース」のコメント欄は差別・侮辱的な投稿が多いと以前から指摘されています。Yahoo!側は「問題のある投稿はAIを使って非表示」と対策を表明していますが、現在も関連するニュースでは差別的な投稿が多数あり、再び似た事件が発生しないか不安を覚えます。

 

イラスト・小谷茶(コタニティー)

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ヘイトクライムは「偏見」の積み重ねがエスカレートして発生します。「○○人はこんな性格だ」という偏見にネガティブな情報が組み合わさって「○○人は危険な人たち」となり、「危険な○○人を日本から追い出さないといけない」と考えが飛躍しヘイトクライムにつながります。

ヤフコメ以外にも私たちの日常には特定の属性の人々への偏見が多く潜んでいます。その偏見に気が付き、自分の中で修正できるかが大事です。

 

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ スマートフォンアドバイザー、フリーライター。沖縄県サイバー防犯PR大使を務め、スマホやインターネットの活動講座を学校などで実施。本連載をまとめた著書「しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール」(旬報社)も発売中。

http://smartphoneokoku.net/