識者談話:照屋翔大氏 高校ゼロ校時見直し 多様な学び・働き方転機に


社会
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照屋翔大氏(沖国大准教授)

 早朝講座の見直しは、生徒に自身のペースで勉強したり、興味関心を深める学習をしたりすることで、大学進学にとどまらない学びを促す可能性がある。同時に教師の働き方の再考にもつながる。ただ県教育委員会が、どれだけの学校で早朝講座が実施されており、どのような成果や課題があるのかを把握しないまま見直しを求めたとすると、学校は廃止や継続を求める生徒や保護者らの板挟みに遭い、判断に苦しむのではないか。

 日本の学校は教師の献身性に支えられてきた。早朝からの授業を負担に感じていたとしても、これまで慣習として実施してきた学校が、経済的理由などで塾に通うことが難しい生徒や、実際に受験勉強を頑張っている様子を見て、廃止と継続のジレンマに陥ることは容易に想像できる。たとえ希望制にしたとしても、その費用負担や教員間での担当時間の偏りといった課題は残る。

 早朝講座が担ってきた意義は確かにある。それを認めつつも生徒の多様な学びや、持続可能な教師の働き方など、今後の学校教育の在り方を見直す一つの転機になることは間違いない。

 (学校経営学)