―これまでの沖縄政策をどう総括するか。
「県内総生産や就業者数、失業率が大幅に改善した。県民の努力があったことは当然だが、50年間の振興策が成果を上げた。一方で『1人当たり県民所得』『子どもの貧困』など課題が残る」
―振興の方向性は。
「沖縄には地理的特性や独自の歴史の中で育まれた文化・伝統、他地域にない優位性・潜在力がある。これらを生かし、自立型経済の構築や豊かな県民生活の実現に向けた取り組みを進める」
―鉄軌道の導入は。
「県民や観光客の利便性向上、交通渋滞の緩和など、意義は十二分に理解している。ただ課題もあり、直ちに事業化を決定するという段階にはない。引き続き調査する」
―沖縄関係予算の一括計上方式の是非は。
「各事業を一体的に把握し進められる制度で沖縄振興に大きく役立っている。沖振法改正に当たっても継続に否定的な見解もあったが、沖縄振興の歴史や制度の現状、県財政の状況を熟知する人から『廃止すべき』という声は上がらなかった。データに基づいた議論をしなければいけない」
―「強い沖縄経済」について具体策は。
「コロナ禍で沖縄経済の脆弱性が顕在化した。『強い沖縄経済』の実現に向け、観光リゾート、農水産業・加工品、IT関連産業、科学技術・産学連携の4分野でヒアリングしている。5月中に具体的戦略をまとめる」
(聞き手 安里洋輔)